関税は「関税法」および「海関進口税則(税関輸入税率表)」の規定により徴収されます。輸入貨物の価格評価および税率の分類を含む台湾の関税システムは、WTOの関税評価協定およびWCO(世界税関機構)の「商品の名称および分類についての統一システムに関する国際条約」(略称HS条約)などの規定に則ります。詳しくは財政部関務署のホームページhttp://web.customs.gov.twの「海関進口税則総則」および「海関進口税則の解釈準則」をご参照ください。
課税価格
台湾の関税は基本的に従価税となっていますが、一部は従量税となっています。従価関税の課税価格は主に取引価格により決定されます。取引価格とは、輸入貨物が輸出国から台湾に輸出される過程で実際に支払われたまたは支払われるべき価格です。輸入貨物の実際に支払われたまたは支払われるべき価格に以下の費用を含まない場合、これを加算しなければなりません。
- 買主が負担した口銭、手数料、容器および包装費用。
- 買主が無償でまたは値引きをして、売主に提供した貨物の生産または販売に用いる以下の物品または役務であって、合理的に分割計算された金額または値引きされた金額。
- 当該貨物を構成する原材料、部品およびその類似品。
- 当該貨物の生産に必要な器具、鋳型、金型、およびその類似品。
- 当該貨物の生産のために消費した材料。
- 当該貨物の生産するための海外における工事、開発、技術、設計およびその類似の役務。
- 取引の条件に基づき買主が支払うロイヤルティおよび報酬。
- 買主が輸入品を使用または処分するとき、売主に実際に支払ったまたは支払うべき金額。
- 輸入港までの運賃、積卸料および運搬費。
- 保険料。
関連当事者取引
売買双方が関連会社または関連当事者であって、双方の特殊な関係により輸入貨物の取引価格に影響した場合、その取引価格は課税価格を計算する根拠になりません。よって、以下の方法でその課税価格を計算します。
- 同様の貨物または類似の貨物の取引価格で課税価格を計算します。税関は当該貨物が輸出された時または台湾に輸出される前後に台湾に販売された同様または類似の貨物の取引価格で査定します。査定時に、取引の形態、数量および運賃など価格に影響する条件に応じて妥当な調整をします。
- 国内販売価格を課税価格とします。ここでいう「国内販売価格」とは、当該輸入貨物、同様または類似の貨物が輸入された時あるいは台湾に輸入される前後に、輸入された原状のまま台湾で一次取引の段階において最大量で特殊関係のない者に販売される場合の単位価格を査定し、以下の費用を控除した価格を指します。
- 輸入された当該貨物、同等または同種の輸入貨物が、国内で販売される場
- 貨物が輸入される時納付される関税および他の税金。
- 貨物が輸入される時納付される関税および他の税金。
- 計算価格を課税価格とします。ここでいう「計算価格」とは、以下の費用の合計を指します。
- 当該輸入貨物の生産にかかる製造原価および経費。
- 輸出国が生産し、台湾へ輸出した当該輸入貨物、同等または同種の貨物の正常な利益と一般経費。
- 輸入港までの運賃、積卸料、運搬費および保険料。
- 他の合理的な価格を課税価格とします。上記の手段で査定できない場合、税関は調査した資料に基づき合理的な方法で査定します。
分割梱包で輸入される個数口貨物
セットである機器および製品の生産プロセスにおいて当該機器に直接使用する必須の設備は、体積が大きすぎるためまたは他の理由で、分割・別梱包で輸入する必要がある場合、業者は事前に関連文書を準備し、税関に申告しなければなりません。税関の審査で事実と相違ない場合には、機器セットの課税種類に則って徴収しますが、それ以外は梱包ごとの課税種類で徴収します。
修理または加工のために海外へ運送される貨物
修理、組立または加工のため海外へ運送される貨物は、再輸入の際に以下の規定により課税価格が評価されます。
- 修理、組立を行なった貨物の場合、その修理、組立にかかる費用を計算の基準にします。
- 加工貨物の場合は、当該貨物が再輸入される時の課税価格と元の貨物が輸出された時または類似の貨物が輸入される時の課税価格との差額を計算の基準にします。
賃借貨物
輸入貨物について賃借または使用料を支払うだけで、所有権が移転しない場合、その課税価格は賃借料または使用料プラス運賃および保険料で計算します。
納税義務者が賃借料または使用料を安く申告した場合、税関は調査資料に基づき、実際の金額を査定することができます。但し、査定賃借料または使用料は、年間で当該貨物本体の課税価格の十分の一を下回ってはいけません。
賃借料または使用料で課税される輸入貨物について、賃料または使用料に基づいて関税を徴収されるほか、本体の価格により計算された関税の全額との差額に従って保証金を納めるか、または与信機関に担保する必要があります。
輸入貨物税率事前教示制度
貨物が輸入される前に、納税義務者またはその代理人は、輸入貨物の税率の事前教示を税関に照会することができます。すなわち、貨物輸入後の税率分類作業を予め行うものです。およそ30日間以内に、税関から照会者に回答があります。国際または国内機関あるいは専門家の意見を必要とする場合、120日間以内に回答があります。
輸入貨物の価格評価の事前教示実施方法
貨物が輸入される前に、納税義務者またはその代理人は、輸入貨物の実際に支払われたまたは支払われるべき価格を加算しなければなりません。そして、これら課税価格の事前教示を税関に照会することができます。およそ45日間以内に、税関から照会者に回答があります。国際または国内機関あるいは専門家の意見を必要とする場合、90日間以内に回答があります。
免税項目
下記のいずれかに該当する場合、関税が免除されます。
- 「関税法」の規定により、関税が免除されるもの。「関税法」第49条に挙げられている特定の状況に該当する場合、関税が免除されます。例えば、教育または研究機関が、その設立の目的に則って、教育、研究または実験用の計器・設備および他の必需品を輸入する場合がこれに当たります。このほか、同法には他の関税免税項目も規定しています。例えば関税を徴収されるべき貨物のサンプル、科学研究関連用品、試験用品、展示品、パフォーマンス団体の衣装、道具、テレビ番組または映画の撮影に使用される撮影器材、機器の据付・修理に必要な計器・工具、貨物の収納に使用される容器、補修・整備に使用される完成品および財政部が認可した物品については、輸入された翌日から6ヵ月以内あるいは財政部が認可した日付けの前に、その貨物が再輸出された場合、関税が免除されます。
- 「海関輸入税則(税関輸入税率表)」付注の規定により、関税の免除を受けるもの。同税則の総則第3条には、「本規則の条件付課税、減税、免税の品目は、その条件を関係する各章の付注に規定する。所管機関の証明文書を提出する必要のある場合、当該所管機関が下級の所属機関または隷属しない行政機関に委託し、これを執行する。」と規定しています。以下に例を挙げます。
- 第84章の付注には「油田ガス田掘削機材、汚染・騒音・振動の防護または環境モニターおよび廃棄物処理機器・設備、農業機器およびその部分品・付属品、盲人用の物品、製造業・技術サービス業の新製品開発・品質改善・生産力向上・省エネなどに使用される機器設備および専ら研究実験あるいは品質試験に使用される計器・設備など」とあります。
- 第85章の付注には「鉱区の安全性を守る設備または器材、汚染・騒音・振動の防護または環境モニターおよび廃棄物処理機器・設備および部分品、製造業・サービス業の新製品開発・品質改善・生産力向上・省エネ・リサイクル促進・製造方法改善などに使用される機器設備および専ら研究実験または品質試験に使用される計器・設備など」とあります。
- 第87章の付注には「消防車および消防はしご車用の部分品・付属品、農器具を装着するトラクターの製造・組立に使用される部分品・付属品、騒音測定車および大気汚染ガスモニター車など公害防止に使用される車両等、および鉄道・電気鉄道の車両以外の車両およびその部分品・付属品」があります。
- 第88章の付注には「航空機本体に使用される器材および地上支援設備」とあります。
- 第89章の付注では「船舶本体に使用される器材、船舶本体の補修に使用される器材。また、造船・船舶修理業者が課税済み輸入原材料で船舶を製造・修理した場合、税金の払戻しを申請することができる」としています。
- 第90章の付注には「汚染・騒音・振動の防護または環境モニターの設備およびその部分品・附属品、製造業・技術サービス業の新製品開発・品質改善・生産力向上・省エネ・リサイクル促進・製造方法改善などに使用され専ら研究実験または品質試験に供される輸入計器・設備など」とあります。
- 他の特別法の規定により、免税の優遇を受けることができます。例えば「民間機関の交通インフラ整備への参可を奨励するための条例」には、輸入貨物の免税及び関税分割納税の関連規定があります。
事後審査
税関は輸出入貨物が引渡しを許可された翌日から6ヵ月以内に事後審査の実施を知らせた場合、輸出入貨物が引渡しを認可された翌日から2年以内に、納税義務者、仕出人あるいはその関係者に対して事後審査を実施することができます。事後審査の結果、税金の払戻しまたは徴収すべき税金がある場合、引渡しを認可された翌日から3年以内に、これをなさなければなりません。