2024-12-27
国際連合は2024年末に「国際プラスチック条約」を最終決定するよう進めています。今年のアースデイでも再び「プラスチック」に焦点が当てられ、欧州では既に「プラスチック税」が登場しています。世界的に持続可能な開発に向けた次の戦略的焦点は、炭素削減からプラスチック削減に移行するのでしょうか?
統計によると、過去10年間に人類が生産したプラスチックの量は、既に20世紀の100年間全体の生産量を超えています。人類は毎年平均3億 8,000 万トンを超えるプラスチックを生産しています。
私たちの生活の中で最もよく使われている「ポリ袋」だけを見ても、2023年は世界で毎分平均約100万枚のポリ袋が製造されています。最大の問題は、ほとんどのポリ袋が使用後数分も経たないうちに捨てられ、数世紀にわたって自然に還ることがないゴミになってしまうことです。
第二に、世界的なプラスチックの過剰生産と廃棄物処理が不十分なため、毎年約800万トンのプラスチック廃棄物が最終的に海に流れ込んでいます。現在の成長率に照らし合わせると、世界のプラスチック汚染量は2040年までに倍増し、プラスチック生産量は2060年までに2 倍になります。
プラスチックの生産が多ければ多いほど、より早く廃棄され、廃棄物の処理はますます追いつかなくなります。
2022 年3月、国連加盟国175か国がプラスチック汚染をなくすための歴史的な決議を行い、法的拘束力のある国際文書を作成しました。これが、『国際プラスチック条約』の起源で、2年以内に5回にわたる政府間交渉がなされ、今年12月初旬に韓国の釜山で最終回の交渉が行われます。
これはパリ協定後の最も重要な国際環境条約と称されており、地球規模の持続可能な開発を炭素削減から炭素削減とプラスチック削減の両軸にすることが期待されています。2050 年までにネットゼロ排出を達成する必要があるだけでなく、略して「60X40世界プラスチック削減」目標と呼ばれるように、2040年までにプラスチック生産量を60%削減しなければなりません。
欧州連合、英国、米国、日本を含む60数か国が、2040年までにプラスチック汚染を終わらせることへの支持を表明しています。『国際プラスチック条約』が最終決定されれば、コンセンサスを通じて提案された世界的なプラスチック削減目標により、各国政府が国家レベルの計画を策定するようになることが予想されます。
では、この国際条約は台湾にどのような影響を与えるのでしょうか?
財団法人プラスチック産業技術発展センターの許祥瑞部長は、国家レベルでは、締結国はプラスチック汚染を終わらせる国家目標を必ず決定する必要があります。台湾は国際社会の一員ですから、当然、我関せず、というわけにはいきません。国際的なサプライチェーンからしますと、ますます多くの企業が、プラスチック製品のライフサイクル全体のなかでプラスチック汚染を減少させる、という顧客の要求を受け入れるでしょう、との認識を示しています。
まもなく通過する国際条約を除くと、少なくない国家が使い捨てプラスチック包装を対象とした「プラスチック税」などの関連措置を実施しています。
最も早いのは欧州連合(EU)で、2021年にプラスチック税の課税を開始、各国でリサイクルや継続利用ができない廃棄プラスチック包装の重量に応じて、EU加盟国から1キログラム当たり0.8ユーロの負担金を徴収、また加盟国にプラスチック税の財源を決定する権利を与えています。
たとえば、フランス、スウェーデン、ベルギーは非課税を採用、別途予算を編成してEUに拠出しています。スペインは2023年からプラスチック税を課税、リサイクルや再利用が不可能なプラスチックについて、1トン当たり450ユーロを徴収します。この税金は国内企業および外国企業に均しく適用されます。リトアニア、オランダ、ルクセンブルクは、新たな税金を設けないことを選択、既存の制度を通じてプラスチックに課税するか費用を徴収します。
既に欧州連合を離脱した英国はプラスチック削減の先駆者であり、2022年にプラスチック税を課税し始めました。再生プラスチック含有量が30%未満のプラスチック包装には、1トン当たり約217ポンドが課せられます。ドイツは2025年にプラスチック税を課す予定です。米国議会もまた、使い捨て包装を製造したり輸入するバージンプラスチックペレットに対して1ポンド当たり0.2米ドルの課税を行う『削減法』を提案しています。
国によってプラスチック課税の方法と進捗状況は同じではありませんが、いずれも「生産者責任」の拡大を標準化する必要があります。許祥瑞氏は、国内業界の中には、EUの顧客が減税目的でプラスチック包装材料に一定比率のリサイクル材料を加えることを要求している、という意見がある、と述べました。
各国プラスチック税の比較 | ||||
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国 | 発効年等 | 税率 | 課税対象 | 注 |
イギリス | 2022年4月 | 当初はプラスチック包装1トン当たり200 ポンド、今年 4 月から217.85 ポンド | 国内製造あるいは輸入のプラスチック包装で再生プラスチック含有率が30%未満 | 再生プラスチック含有率35%以上は非課税 |
スペイン | 2023年1月 | 新しいプラスチック材料1キログラムあたり0.45ユーロ | 使い捨てプラスチック包装用の非リサイクルプラスチック | 使い捨てプラスチックの償却埋め立てには追加課税 |
イタリア | 2024年7月1日 | 新しいプラスチック材料1キログラムあたり0.45ユーロ | 使い捨てプラスチック包装用の非リサイクルプラスチック | |
ドイツ | 2025年(予定) | カテゴリーによって異なり,最低は1キログラムあたり0.001ユーロ、最高は8.972ユーロ | 使い捨てプラスチック包装ならびに製品 | |
アメリカ | 2021年(提案) | バージンプラスチックペレット1ポンドあたり0.2米ドル | 使い捨てプラスチック包装 |
財団法人プラスチック産業技術発展センターの許祥瑞氏は、産業界は次の4つの原則から始めるべきです、と提案しました。
(1)一部の要注意化学物質を含む、一次プラスチックポリマー使用量の統計をとること、(2)寿命が短い使い捨てプラスチック製品や意図的に添加されたマイクロプラスチックなど問題のあるプラスチック製品の使用を避けること、(3)製品設計により不必要なプラスチックの使用を減少させること、なるべく再利用・詰め替え・修理をすること、リサイクルされたプラスチック部品を使用すること、あるいはプラスチック製品をクローズドリサイクルで設計すること、(4)使用段階と廃棄物管理を含む拡大生産者責任 (EPR)。
国内大手食品プラスチック容器メーカー金元福(KYF Packaging)の郭哲宏・最高サステナブル責任者(CSO)は「遅くするより早くする方がいい」と語っています。2022年末に台湾が食品と接触する包装材料としてリサイクルポリエステル(rPET)の使用を認めた後、金元福は早々とリサイクル材料への布石を打ち、rPET食品容器を売り場に提供する業界初のメーカーとなりました。近年、金元福ははrPETの使用比率を一貫して高めており、2022 年の報告書によると、rPET製品の割合はすでに約13.2%に達しています。
リサイクル材料の使用を求めるという国際ブランドの動きのもと、世界的にリサイクル材料の供給は需要に応えることができず、価格の高騰を招いています。金元福はより高い使用コストを負担しなければなりませんが、郭哲宏CSOは、リサイクルの利益が多いと投資が促進されるはずですので、将来はリサイクル材料の生産能力が拡大し、コストは自然に下がるでしょう、と楽観的です。「もともと環境に漏出した廃棄物をもう一度、生産製造体系に戻すこと、そうすることによりようやく環境への影響を軽減することができます」と同氏は述べました。
市場調査コンサルティング会社ウッドマッケンジー(Wood Mackenzie)の統計によりますと、2020年における世界のペットボトルリサイクル率は約54%でしたが、その後は上昇を続け、2023年には57%に達し、2025年には60%を超えると推測されています。
遠東新世紀(FENC)は、ポリエステル産業の応用製品の約3分の1はペットボトルで、リサイクル再製品化はすでに成熟している。残りの3分の2は繊維製品で、商業価値のある繊維リサイクル技術が開発されれば、再生プラスチックに対する膨大な需要を解決するチャンスがあるだろう、と考えています。
遠東新世紀は、ケミカルリサイクル方法を利用して廃棄された混紡製品を処理することを含め、廃棄繊維製品のリサイクル技術の発展に全力を挙げています。2024年にはパイロット工場が完成する予定で、商業化に向けて開発を続けています。
資料來源: 天下雑誌 2024-04-29
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